車という名の喫茶店



喫茶店に行く。
ナポリタンの具が、ピーマン、ハム、玉ねぎで、私が家で作るものといっしょだった。
セットにすると700円なので紅茶を注文して、ナポリタンが500円なのかそれとも400円なのかとくだらない議論をする。

友人は、リスカっぽいからという理由でレスカを注文していた。
レモンスカッシュをレスカと略すのは純喫茶ではよくあることだし、リスカっぽいというのは少しムリがあると思ったが、メニューの文字を見て納得した。たしかにリスカっぽい。どこがどのようにと明確に伝えきれないが見てもらえば言わんとしていることは伝わるはずだ。



私たちのほかに、高齢の男女が税金対策の話を大声でしていたが、内容から察するに夫婦ではないようだった。
お互いにニット帽をかぶり、ダウンジャケットを着ている。
店内はあたたかい。高齢にもなると、着脱がめんどうになるのだろうか。

トイレに行くと、壁際に石油ファンヒーターが三台も並んでいることに気付く。すべて稼動しているようだった。

ゲームテーブルもあるし、安いし、ナポリタンはおいしいし、ファンヒーターは三台ある。
満足して店を出たが、店名の「車」の意味を訊けばよかったとあとで後悔した。

友人は「車好きなんじゃないの?」と推測していたが、店内に車に関するものはひとつもなかったし、店主の苗字なのではないかと私は思う。
寅さんも「車」だし。
そう言ったもののあとで自信がなくなり、調べたら車寅次郎で合っている。

「車」はあっても、電車と言う苗字はないのではないか?
汽車もなさそうだ。二輪車なんて、ぜったいにないな。