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コメダコーヒーのミックスジュースが挙動不審だったサラサラ事件簿

大変なことが起こりました。

いきなり質問です。



これ、何だとお思いですか?
コメダ珈琲のミックスジュースです。
(というかTwitterイノダコーヒーと書きましたが、コメダです)

まさかとお思いのことでしょう。
私も思いました。
そのまさかです。
しかも、店員さんにムリ言って入れ替えてもらったうえでの、あえてのミックスジュースです。

マジで?

昨日、忘年会の帰りにカフェ難民になりました。そこで、まあ私の大好きなミックスジュースもあることだし、夜中までやってるしコメダでいっかーと入店。

席に座るや否や間髪いれずにミックスジュースを注文しました。
先に友人の注文したクリームソーダが運ばれてきて、クリームは大量でしたがなんせソーダ部分が少ない。グラスの三分の1しか入っておらず、友人がたいそう困惑していましたので、私が自ら店員さんに声をかけました。
「すみません……あの、これ、規定の量ですか? ちょっと少なくないですか?」
店員のお兄さんは自信満々で答えます。
「これは規定の量ですね。ボタンひとつででてくるのでまちがいありません」
なるほどですね、と私たちは納得します。

そんなところで他の注文した品がそろい、私は我先にとミックスジュースに手をかけました。あれ……?
ここです!
ここで、例の写真です。
なんか……おかしくない?
これミックスジュース? ミルクセーキのまちがいかな? と飲んでみたところ、かすかにミックス的な味はしました。
しかしながら、みなさんご存知ないかもしれませんが、私はミックスジュースソムリエです。風味・甘み・とろみ・舌触りの点において、私が知っているコメダのそれとはあきらかに差異がありました。
初訪問したのは去年でしたが、初めて飲んだコメダのミックスジュース(ちなみに同じ店舗です)のことを私はこう記しています。

すっかりナメていたので「おいしい!」というよりもまず「すみません!」という感じ。
私にとっては甘さ、味、量の何をとってもよい。なにより得体の知れぬ"とろみ"の正体が最後までつかめなかった。

ナメてかかっていた私に謝罪宣言までさせた、かつてのコメダの堂々たる風格はどこにもないのです。

少しずつ、飲めば飲むほど猜疑心が募っていきます。
「はたしてこれは、本当にミックスジュースなんだろうか?」

けれども先ほど、ソーダの量において疑問を呈してピシャリと言われてます。クレーマーと思われてはたまったもんではありません。にしてもちがう。サラサラすぎる。ほぼ牛乳。しばし逡巡としたのち、クレーマーおばさんと呼ばれることを覚悟で私は一か八かの勝負に出ました。

「あのーこれは…ミックスジュースですか?」

は?
という顔を一瞬させた店員のお兄さんでしたが、一目見て瞳の色が変わりました。おもむろにグラスを取り、においを嗅いだり揺らしたりして首を傾げています。 
「う〜ん…聞いてみます」
と持ち去りました。
あーーーやっぱりちがったんだー! そりゃそうだよね、うん。わーーやっとミックスジュースが飲めるーーと喜んでおとなしく待ちまして、しばらくして出てきたものが、またここです! この写真です! つまり、まったく同じものがでてきたのです。
 「入れ替えましたがどうでしょうか」
と、私の様子を固唾を呑んで見守っているお兄さん……。
飲んでまた私はいぶかしげな表情をしたのだと思います。
「あの…もう一度やってみましょうか、同じものですけど」
と、チャレンジ精神を発揮してご親切に言ってくださいました。
しかしながら断じてクレーマーではないという私の意地もあり、さらに同じものなら持ってきてもらっても申し訳ないし……という気持ちもありで、ていねいにお断りしたのですが、サラサラ味の(ほぼ)牛乳を飲み干すのは、正直苦行のようでした。

お兄さんは私たちのテーブル近くを通るときにはもれなく私や私のグラスに目を通し、その真意はわかりかねますがなにげに首を傾げたりしてアイコンタクトをとっていかれます。

以前も同じ店に一緒に行った友達がその場にいて、
 「たしかに前はもっとドロドロしてたし、あの時の土屋さん、『おいしいおいしい。飲む? 飲む?』と言いながら一気に飲んでた」
と言ってくれました。たしかに私はおいしいと後先考えずに一気飲み、一気食いをしてしまい、あとで後悔するハメにあいます。そうだ、一人で勘違いしてるわけではない、やはり以前のとはちがうのだと確信が持てました。

コメダに入店する直前、カフェ難民になりながら我々は
「生きる糧があるから生きてるわけでしょ。糧がなくなると、『おれ、なにやってんだろ……』と道の途中で立ち尽くしてしまう」
と熱弁する友達の話を聞きながら
「じゃあ歌舞伎町のど真ん中とかで生きる糧がなくなっちゃったら立ち止まることとかあるワケ?」
とか問い詰め、「あるね」と返答されたりして、何言ってんだよ……と話していたのですが、ここですかさず彼が
「ほらほら、それが生きる糧だよ、土屋さんにとって今の生きる糧はミックスジュースなわけ。ミックスジュースが野望なんだよ」
とさらにわけのわからないことを言ってきたので本気で消耗しました。私にとってはミックスジュースショックとのダブルパンチで完全に精神が弱りはて、おそらく精神的ストレスから一気に腹具合がおかしくなり、トイレに何度も駆け込むという惨劇を繰り広げます。

店で数時間、帰宅後に30分、「この年末にこれはヤバいぞ……」とトイレで悶絶しましたが、朝起きたら治っていました。なんだったんすかね。
 


深夜にTwitterで報告したので勘違いした方が多かったようですが、私はコメダ珈琲にたいして憤慨しているわけではありません。

店のお兄さんにも敬服していますし、いっしょに悩んでくれている感じ、私が納得いくまで入れ替えようというサービス精神にも感謝しています。なにより通るたびに「はて……?」という顔が可笑しくて、可笑しいイコール好意ですから、そんな彼を責めるわけがないのです。

ただし、先にも申しましたが私はソムリエです。ミックスジュースソムリエの矜持と異常執着だけは人一倍あります。これは、人物や企業を対象にした怒りではありません。そんなチンケな人間ではないのですソムリエは。
もっとこう…スケールの大きい話なわけですよ。あの甘美なミックスジュースが飲めなかった事実そのものに憤っているわけで、要するに何もかもミックスジュースへの過大な愛情がゆえの行動と現象なのであり、とにかく私にミックスジュースを。ミックスジュースエキス、略してミジエキスを。だれか。

こちらがミックスジュース魅惑の最高峰気泡になります。


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愛情を超越しすぎてミックスジュースをWEBカラーコードにしてしまった乱心ぶり