Twitterで2倍楽しむ東京の雪

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気象庁がコーフンぎみに「大雪警報」の脅しをかけ、Twitterのタイムライン上は待ちかまえる人たちのツイートで溢れかえった。平日の日中から降り始めるケースがあまりないのかもしれないけれど、予報の段階でこの浮かれっぷりはめったにない現象だ。

私も当日はアラレが落ちてきた午前中から観測をはじめ、逐一ツイートしては知らない人や同級生らと共有。午後二時くらいからは事務所でひとりになったこともあって、LineやTwitterに張り付いては外に行き、また窓辺に行き、また外に出てパトロールに勤しんだ。

中学からはじまって今に至るまで、通勤に利用している京王バスは有事に強い。すばらしいポテンシャルで、いつだったかの大雪の時も、3.11の時も非常に頼もしい働きを見せてくれた。今回も大丈夫だろうとタカをくくり(実際運行していました)、完全に仕事を放置して原因不明の使命感により熱心に実況した。

私が事務所を出たのは午後9時過ぎ。大通りに出たら、予想していた以上に交通量と人が少なかったのでつい早足になる。いつもは活発に活動している青梅街道の工事も静まりかえり「なにが起きたんだ......」と思わせる。いや、雪でしょ、どう見ても......。私は立ち止まって、重機の陰などに人が取り残されていないか確認した。自分の行動がちょっとよくわからない。そこからバス停まで、世紀末のような新宿を撮りながら歩いた。


ショボーーーン。誰もいない歩道橋。

バスを降りてスーパーに向かっていたら、若造のヒステリックな声がする。なんだどしたと近づいてみたら、声の主は警察官だった。それをふしぎそうに眺める老人。その横で、ニット帽をかぶった小さな老婆が老人の腕を必死に掴んでいた。離すまいという気迫は、一瞬でわかった。
「頼むから車椅子に乗ってよ! このまま歩いたら死んじゃうから! わかるでしょー? みんなに迷惑かけないでよーっ!」
老人の孫くらいの年齢のおまわりさん。私が足を止めたのを一瞥すると、少しだけ口調が穏やかになった。耳が遠くなっているのかもしれないけれど、大声を出されても、老人はほとんど動じていない。

ウソみたいな白い世界。徘徊の老人。すがるように、腕を離すまじとする老婆。声を荒げる若い警察官。様子をうかがう中年女(私です)。
一見、物悲しい光景に見えるけれど、私はなんだかうれしくなってしまった。老人がよろこんでいるように見えたのである。Twitterも、Instagramも、小さい子も犬も猫も、私もおじいちゃんも、やっぱりみんな同じように、うれしいんじゃないか。

ヤジウマするのも飽きたので、スーパーを目指して歩いていたら、前方から車いすのハンドルを持って暴走している男がいた。すさまじい勢いであっというまに通りすぎたのだけど、老人の息子だろうか、かっ飛ばし方が尋常じゃない。でも、彼も、実はこの雪を楽しんでるということはないだろうか。だったらいいな、と思いながらスーパーに入店。

 

店内は、鮮魚コーナーに何も残っていなかったこと以外は拍子抜けするほど通常で、そこそこお客さんも入っていた。ちょっとこれはいかにもつまらないな、来た甲斐がない、と思いながらモツ鍋の材料を買う。買物にきたはずなのに、過剰な期待をしてしまった。

帰りには、老人一派はこつ然と姿を消していたけれど、おかげで雪仕様の自動販売機を見ることができた。



上の写真を友人らに送った。みんな「?」だった。わからないらしい。


「勘で買え」と言わんばかりの自動販売機。

OL風の女性も立ち止まって写真を撮っていた。こうなってくると、もはやインスタ映えとかどうでもよくなるのかもしれない。

Twitterはすでに仕事そっちのけで雪まみれのツイートだらけ。Instagramでさえ、どこも同じような雪の写真が次々に流れてくる。当然トレンドは雪一色になった。

 
Lineグループでは、めったに写真を送ってこない友人らでさえピンボケの写真を送ってくる。翌日の出張を控え、宿泊している成田のホテル、川崎の自宅、誰もいない公園、川口のスーパー、車の少ない環八道路......そんな中、アメリカ在住の心配性の友人は、みんなの心配をしてばかり。電車が止まり、車内から実況していた同級生が無事に西東京に着いたのを確認をして、「じゃあみんな寝よう」といっせいに寝たのがなんだか修学旅行っぽかった。遠隔エセ修学旅行。ネットの恩恵か。

そして「いっせいに」などと言われてもしばらく寝ないのが小学校からの私の性格である。どんなに世界が進化しようと、人の性格と自然はそれほど変わるもんじゃない。