えばりすぎて面白くなったジジイ

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一階の駐車場でタバコを吸ってると、よく出くわす人が何人かいる。道路に面しているので、相手が喫煙者でなくてもよく出会うのだ。その1人に、同じビル内の会社の社長(会長)とおぼしきジジイがいる。昭和のドラマに出てきそうな、時代錯誤なじいさんである。

仕立てのよさそうなスーツ、禿げているけど整えている髪、ツヤツヤに磨かれた革靴。しっかりとした足取りだけれど、年は70を越えているだろう。たぶん24時間えばってる。まちがいない。

「会社ではみんなヘーコラしてるかもしれないけど、国民全員がじいさんの部下じゃないんだよっ!」
と思うものの、「チワー」と挨拶すると
「おう。ごくろうさま、気をつけて行きなさい」
とまっすぐな背筋のまま言うのである。
こちとらタバコ吸ってるだけなのに、どこに行くっていうんだよw じいさんこそ気をつけてよ!
と突っ込みを入れたくなるけれど、ここまでエラソーを極められるとなんだか憎めない。というか面白い。
考えてみれば、説教されるわけでもなし、理不尽なパワハラを受けるわけでもないので実害はゼロだ。

「いるよねー、あのおじいちゃん」
という話で、となりの事務所の人と盛りあがったけれど、
「あの人さ、もしかしてここに会社とかもうなくてさ、往年の輝きを味わいたくてただフラフラしてるだけかも」
と言われたらそんな気がしてきてやたら哀愁が帯びてきた。

どっちにしても面白いので、もうしばらく楽しませてくれ、と思っているのだが、そういえばここんとこ遭遇していない。じいさんにえばってほしい一心で、やたらとタバコを吸いに出てしまう。どうしてくれるんだ。

……とここまで書いて、じいさんそのものが実在しないとかない? と不安になってきたのでこの話は終わりにします。